太田真季「あなたへのLullaby(ララバイ)」 [アーティスト]

音楽センターCD3枚連続リリースの第三弾、太田真季「あなたへのLullaby(ララバイ)」の紹介です。

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お読みになっている方に質問ですが、太田真季さんというシンガーをご存知でしょうか?
当ブログをお読みになっているということで、既にご存知の方もいらっしゃると思います。もし今日はじめて耳にしたということでしたら、ぜひ最後までお読みになり、その美しい歌声に触れて(試聴)いただければと思います。

太田真季「あなたへのLullaby(ララバイ)」(音楽センターCCD902)
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□収録曲
1.さくらんぼの実る頃(作詞:Jean-Baptiste Clement/作曲:Antoine Renard/日本語詞:山ノ木竹志)
2. Time To Say Goodbye(Con te partiro)(作詞:Francesco Sartori/作曲:Luio Quarantotto/日本語詞:安藤由布樹)
3-5. 母三章 詩画集「風の旅」より 3つの母のうた(作詞:星野富弘/作曲:武義和)
 ばら
 きく
 たった一度だけ 〜なずな〜
6. 星ものがたり(作詞:さいとうのりお/作曲:武義和)
7. 黒いひとみ(Dark Eyes)(ロシア民謡/日本語詞:近藤玲二)
8. 何という胸の痛みだろうか(作詞・作曲:Violeta Parra/訳詞:上田達生)
9. わが心のアランフェス(作詞:Guy Bontempelli/作曲:Joaquin Rodrigo/訳詞:広川あけみ)
10. ふきのとう(作詞:門倉さとし/作曲:林学)
11. 樫の樹(作詞:Michail Vasil'evich Isakovsky/作曲:Matvei Blanter/訳詞:井上頼豊)
12. ねんねのお父さ(津軽地方の民謡)
13. おろろんおろろん(天草地方の民謡)
14. てぃんさぐぬ花(沖縄地方の民謡)
15. 私の子どもたちへ(作詞・作曲:笠木透)
16. やさしかったひとに(原詩:野長瀬正夫/作詞:山元清多/作曲:林光)
17. 翼(作詞・作曲:武満徹)

ソプラノシンガー太田真季さんの7枚目のオリジナルアルバムになります。そして今回は歌手生活40周年の記念作品でもあります。実は担当M、こちらのアルバムの制作スタッフを務めさせていただきました作品ですので、今回も思い入れたっぷり(すいません)に紹介させていただきます!

担当M、仕事として制作にかかわりましたが、過去のアルバムも含め、その美しいハイトーンヴォイスに、そして繊細な表現力に打ちのめされ、ipodに入れよく聴いている程です。レコーディングにも立ち会いましたので、制作秘話も含め曲解説させていただきます。


1曲目「さくらんぼの実る頃」は有名なシャンソン曲。近年ではスタジオジブリの「紅の豚」(宮崎駿監督)の挿入歌にもなった曲ですね。アルバム全体にわたってですが、バッキングにピアノ(後藤寿美)、ギター(田嶌道生)、ウッドベース(水野俊介)、アコーディオン(大田智美)のみの編成で、生音のゆったりとしたアンサンブルにこだわったアレンジになっています。この曲もそうしたゆったり感が心地良く、そして切ない一曲です。

2曲目「Time To Say Goodbye(Con te partiro)」は、サラ・ブライトマン、アンドレア・ボッチェリーニが歌い世界的に大ヒットした曲。真季さんバージョンはそれらに全く引けをとらない仕上がりで、その歌唱力に圧倒されること間違い無しです。今回は安藤由布樹さんによる素敵な日本語詞で歌っていますので、この曲が好きな方には特に聴いていただきたいです。

3〜5曲目「母三章」は、画家で詩人の星野富弘さんの詩に作曲家の武義和さんが美しいメロディーとピアノ伴奏をつけた作品です。繊細な表現力がより楽曲の魅力を引き出していると思います。

6曲目「星ものがたり」は、シングル発売ができるのならぜひしたい(といっても予定はないのですがm(_ _)m)一曲。さいとうのりおさん作詞・武義和さん作曲で、人々の織りなす人生の模様を星空になぞらえた、本当に美しい曲です。

7曲目「黒いひとみ(Dark Eyes)」、8曲目「何という胸の痛みだろうか」、9曲目「わが心のアランフェス」、11曲目「樫の樹」と世界の名曲が続きます。真季さんの日本の歌も素晴らしいですが、外国曲はさらに素晴らしく、どの曲も異国情緒溢れる仕上がりとなっています。特に今注目の若手アコーディオン奏者、大田智美さんのソロが光る「黒いひとみ」はかなりのお薦めです。

10曲目「ふきのとう」は、作詞・門倉さとしさん、作曲・林学さんの作品。粉雪のように繊細なピアノ(編曲・林光)と真季さんの凛としたボーカルが印象深い一曲で、詞のテーマとなったある家族の生きる様を雪景色に投影しているかのようです。

12〜14曲目は日本の民謡・わらべ歌で、「ねんねのお父さ」(津軽地方)、「おろろんおろろん」(天草地方)「てぃんさぐぬ花」(沖縄地方)が並びます。後藤寿美さんによるシンプルながらも深みあるアレンジも聴きどころです。担当Mのお気に入りは、水野俊介さんのジャズベースがカッコいい「おろろんおろろん」です。

15曲目「私の子どもたちへ」は、シンガーソングライター笠木透さんの代表曲のひとつですが、今回は朗読と歌とすることで、よりメッセージ性の高い一曲になりました。この曲を選ばれたのは、東日本大震災の鎮魂や原発被害への思いがあってとのことでしたが、聴いた方が故郷の自然の美しさ・大切さを今一度思い直していただけたら、スタッフとしても嬉しい限りです。

16曲目「やさしかったひとに」は、昨年惜しくも亡くなられた作曲家、林光さんの作品。この曲のレコーディングに立ち会わせていただいた時、あまりにも素晴らしい曲で心震えるほどに感動したことを覚えています。物語のような歌詞も素敵です。

アルバムのラストの17曲目「翼」は、ニュース23のエンディングテーマ曲にもなった武満徹さんの作品。田嶌道生さんのボサノバ調アレンジが心地良く、できることなら本当の空旅で聴きたいナンバーです。


ということで、思い入れたっぷりに解説させていただきましたが、いかがでしたでしょうか? 太田真季さんも「キャリアの中で最も好きなアルバム」と言っていただいていると伺っていますので、ぜひご一聴いただければと思います。


[太田真季プロフィール]
函館市出身。フォルクローレ・グループ“アンサンブルケーナ”のボーカルを経て、1984年よりソロシンガーとしてデビュー。音楽センターより6枚のアルバムを発表。日本の叙情歌、ヨーロッパの歌曲、ロシア民謡、フォルクローレ、ポップス〜ミュージカルナンバーなど幅広いジャンルにわたり、美しいハイトーンヴォイスと豊かな表現力が共感を呼んでいます。また、地域の合唱団とのジョイントコンサートや小会場でのサロンコンサートなど、様々な形のコンサート活動も意欲的に行っている。

追記:
ところで担当Mが制作でかかわりましたのは、ジャケット写真やパッケージなどのアートディレクションで、素晴らしいフォトグラファーさん・デザイナーさんとお仕事することができました。アルバムのイメージに合った仕上がりになったと思いますので、こちらにも注目いただければと思います。(すいません、思い入れあり過ぎでm(_ _)m)

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太田真季「あなたへのLullaby(ララバイ)」(音楽センターCCD902)
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原田義雄「夢を語るとき 原やんのうた」 [アーティスト]

音楽センターCD3枚連続リリースの第二弾、原田義雄「夢を語るとき 原やんのうた」の紹介です。

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シンガーソングライター原田義雄さんの初のソロアルバムになります。ファーストアルバムといってもキャリアは長く、自身が所属するフォークグループ「フリーダム」は1979年結成で、地元岡山や関西を中心に活動されてきました。オリジナル曲の「みんなのうた」「いとし子よ」などは、既に草の根の多くの方々に知られている曲となっています。

原田義雄「夢を語るとき 原やんのうた」(音楽センターCCD901)
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■収録曲
フライデー・レポート(石黒真知子 作詞/原田義雄 作曲)
そのまんま(石黒真知子 作詞/原田義雄 作曲)
人間の歌(山ノ木竹志 作詞・作曲)
畦つけうた(原田義雄 作詞・作曲)
風のうた ユパンキによせて(山ノ木竹志 作詞/原田義雄 作曲)
共に生きる町(金明植 作詞/林光 作曲)
ヨッちゃんの仕事(原田義雄 作詞・作曲)
粉せっけんのうた(原田義雄 作詞・作曲)
みんなのうた(コーラスVer.)(原田義雄 作詞・作曲)
いとし子よ(小森香子 作詞/原田義雄 作曲)
生きているということは(永六輔 作詞/中村八大 作曲)
誇りを胸に(石黒真知子 作詞/林学 作曲)
夢を語るとき(石黒真知子 作詞/原田義雄 作曲)
みんなのうた(ハングルVer.)(原田義雄 作詞・作曲)


原田さんは視覚疾患があり、残念ながら現在は視力をほとんど失ってしまったそうです。でも伸びやかな歌声にはそのことを全く感じさせない明るさや何にも負けない強さを秘めていて、聴く者を一気に虜にしてしまう魅力があります。

今回のアルバムに収録された14曲は、それぞれが原田さんの思いやメッセージをしっかりと伝えていると思います。先日行われた原田さんのソロコンサート(本当に素晴らしいライブでした)で語っていたことも交えながら、曲解説していきたいと思います。

1曲目「フライデー・レポート」は、毎週金曜日にある場所で行われている人権侵害の抗議行動を歌にしたものです。爽やかなアコースティックサウンド(今回のアレンジャー玉木孝治さん、ピアノ・キーボードのシモシュをはじめとしたミュージシャン陣、そして「フリーダム」のメンバーの歌声が全編にわたり、原田作品を非常に高いクォリティーに仕上げています)の中に強いメッセージが込められています。
2曲目「そのまんま」は、底抜けに明るいポップソング。サイモンとガーファンクルを彷彿とさせるような楽しいナンバーです。
3曲目「人間の歌」は、草の根で多くの方々に歌われ何度もレコーディングされてきた山ノ木竹志さんの名曲ですが、原田バージョンはそれらどれよりも新鮮で力強く、大きな感動を呼ぶ「人間讃歌」に仕上がっていると思いました。
4曲目「畦つけうた」は、原田さんが岡山県の蒜山高原に移住し農業に取り組んでいた頃にできた歌。歌声とギター、ピアノ、和太鼓のアンサンブルが“土の感触”さえも感じさせてくれるようなナンバーです。
5曲目「風のうた ユパンキによせて」は、アルゼンチンの伝説の音楽家アタウアルパ・ユパンキに捧げた曲。フォルクローレの要素を取り込んだリズムアレンジは、遠くアルゼンチンの乾いた風や美しい風景を想像させます。
7・8曲目、「ヨっちゃんの仕事」「粉せっけんのうた」は、法改正により障害者の作業所での仕事が立ち行かなくなっている現状を歌った曲です。そんなシリアスな問題も原田さんはコミカルに歌うことで多くの人に問題を提起しています。
9・14曲目「みんなのうた」は、原田さんの代表作のひとつ。ついつい一緒に口ずさみたくなってしまう優しさを帯びたメロディーは、かけがえのない仲間達への思いを昇華さたものなのだとあらためて感じました。今回は共演することとなった小平市のこげら合唱団(障害のある方・家族・歌の好きな一般市民が集う合唱団)との合唱バージョンと、長く交流し友人もいらっしゃるという韓国のハングルバージョンを収録しています。
10曲目「いとし子よ」は、草の根の多くの人々に知られる原田さんの名曲のひとつ。「両手に感じた子どもの重さと地球の重さを等しく想う」というテーマは、3.11後の原発の問題とも被り、全ての親・子にとっての「答え」なのではないかと感じました。いつまでも歌い伝え続けていきたい一曲です。
13曲目「夢を語るとき」は、2012年“ちょっと遅咲きのソロデビュー”を飾った原田さんのイメージに最も近い曲です。自身の年齢や状況に流されることなく、自分の夢に前向きになれる姿勢こそが、原田さんが時折見せる少年のような輝きに繋がっているのだろうなと思いました。(弊社出版物の案内になりますが、この曲は子どものための楽曲や市民の合唱で注目を集めている作編曲家たけよしかずさんの作品集でも紹介されています。)
ちょっと長くなってしまいましたが、このアルバムの魅力が何となくでも伝わりましたでしょうか?


余談になりますが、担当Mこの作品についてはレコーディングの現場に立ち会うことはできなかったのですが、ジャケットやCDブックレット内で使用する写真の撮影(いい感じのジャケットに仕上がったとは思いますがいかがでしょうか!)に同行させていただきました。実は自分が撮った写真も何枚か使用されていますので、ぜひCDを手にとられましたら、そちらもご注目いただければと思います。

話がそれてしまいましたが(^ ^;)、注目の“新人シンガーソングライター”原田義雄さんのライブ・コンサートについては、音楽センターおよびセンタープロが今後手掛けていきますので、出演の要請等ありましたらぜひともお問い合わせいただきますようお願いします。

「夢を語るとき 遅すぎるということはない 大切に大切に 今を生きよう」という原田義雄さんのメッセージ、原田さんのライブで聴いて本当に心を揺さぶられるものがありました。自分も「初心を忘れない」という意味で大切にしていきたいと思います。

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原田義雄「夢を語るとき 原やんのうた」(音楽センターCCD901)
ご購入はこちらから

原田義雄「夢を語るとき」が掲載されている
楽譜集・たけよしかず作品集「さあ耳をすまして」詳しくはこちら

原田義雄のライブ・コンサートのお問い合わせは
こちらまで

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